ジャピノへの3つの恋のお題:眠りにつく前に/好きだなんて言ってあげない/抱きしめてもいいかな
帰宅予定日時が過ぎて一週間。
もう数分で日付が変わる頃に天才外科医は帰宅した。
すでにベッドで就寝していた少女は頭からタオルを被る。
つまり怒っているのだ、というアピールなのだ。
だから顔をみせないの。
「ただいま、ピノコ」と声をかけられても。
無事に帰って来たことをこの眼で確かめたくても
ジャピノの今日のお題は『耳』『時計』『チョコケーキ』です。
「おい」
「え?」
少女の耳に収まっているイアホンを、天才外科医は外した。
突然耳に飛び込んでいた肉声に、少女は驚いた表情で見上げる。
「チョコケーキ作っているんじゃなかったのか」
「あ!そう!」
少女は慌てて立ち上がるとキッチンへと駆け込んだ。
おやつのチョコケーキ完成まで、あと少し。
お題は『君への「可愛い」は特別なんです・季節が変わってから分かるもの・おまえがいいんだ・びいどろの憂鬱・公私混同か否か』です
両腕が小麦色の少女。
顔は白いままだが、それは仕方がないことだ。
それでも少女は嬉しそうに「こんなに日焼けしちゃった!」と自慢する。
「水着の痕がわかゆぐらいなのよさ」
「よくプールに行ったからな」
「うん!可愛いおニュー水着だったから!」
「確かに、可愛いかった」
「そうれしょ?」
「ああ」
-終-
2011.9.1