140字お花のお題
「リンドウに添う(悲しんでいるあなたが好き)」
飛沫を受けているその花を、そっと手に摘む。
荘厳な滝壺を見下ろすように咲き誇るその可憐な花は親友の最後を見届けた。
私にも教えてくれないか。
そっと花に囁きかける。
思わず、花を抱きしめた。
彼にそうしたかったように
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「オレンジの花のヴェール(花嫁の喜び)」
美しいヴェールは、かつて彼の愛しい花嫁の頭を美しく飾っていた。
金の髪にオレンジの花のヴェールはまるで姫君のように可憐であった。
今、彼はそのヴェールを墓標にそっとかける。
綺麗だよ。
小さな声で彼は墓標に囁いている。
きっと彼女は天で幸福そうに笑っている。
僕は、思わず、目を背けていた。
2014.2.2