00.
お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。
HN:不良保育士コウ
サイト名:Phantompain-幻肢痛-
一言:とにかく、状況描写が苦手なので、がんばります!
01.
告白<恐れていた現実/ジョルジュと影三> 【62文字】
彼の手が小刻みに震えだし、手にしていたカルテが、ばさりと落ちる。
「フェニックス病だ」目の前の男は笑っていた。「やはり発症したよ」
02.
嘘<告げられぬ本音/BJと影三> 【55文字】
息子は無菌テントの中で、淡々と手を動かしながら尋ねた。
父は、それを見ずに、口を開いた。「今は愛してはいない」と。
03.
卒業<就職/影三> 【52文字】
一昨日購入したばかりのスーツは、皺一つ無い。
彼はネクタイの結び目を触りながら、面接会場へと向かっていた。
04.
旅<情緒に欠ける友人/ジョルジュと影三> 【40文字】
窓の外は、万年雪を被る北米の雄大な山脈。
目の前には、大口を開けて眠る、彼の寝顔。
05.
学ぶ<日本語特訓中/ジョルジュと影三> 【60文字】
ぽん、と彼は手を打って答えた。「分かった、トマトだ!」
「違います」彼は首をふって「”tamago”は”egg”の事です」
06.
電車<日本の通勤電車は大変/影三> 【63文字】
緑のラインが入る銀色の電車がホームに入るなり、整列していた人々は途端に秩序を失くし、狭い入り口へと殺到する。
それが毎日の風景。
07.
ペット<乳児は動物的/黒男と影三> 【62文字】
四つ這いで笑いながら来る君。笑っていたかと思えば、すぐに泣く。
触って、舐めて、時々こける。君が人間らしくなるのは、もう少し。
08.
癖<彼は甘党だから/エドワード> 【64文字】
商品ボタンを押してから、と気づく。
ミルク増量のボタンを先に押すのを、いつも忘れてしまう。
ぼとと…液体が注がれる音が、微かに響く。
09.
おとな<憧れの男/影三> 【61文字】
背が高く、幅のある肩は逞しい。
優しげな表情に、知性のひかる碧眼。開業医であれば頼もしい。
ああいう男性に、俺はなりたかった。
10.
食事<拒食する君/ジョルジュと影三> 【56文字】
痩せ細った彼の表情は、どこまでも虚ろで痛々しい。
粥を一さじ掬って口元へもっていく。途端に、彼は、苦しげに嘔吐した。
11.
本<ここにいたか/エドワードと影三> 【62文字】
机の上に山積みになった本を、一つ一つ、丁寧に横へ避けていく。
半分ほど避けると、埋もれていた彼の黒い頭が、ようやくみえてきた。
12.
夢<儚い願い/影三> 【39文字】
引き出しの中にある、21年前に購入した、帆船模型。
これを息子に、手渡せる日が。
13.
女と女<もう要らないものよね/蓮花と影三> 【54文字】
彼女は彼の左手薬指から指輪を抜いて、新たな指輪を嵌めた。
そして、抜いた指輪は、彼女が笑いながら暖炉の炎へと投じた。
14.
手紙<黒男、ごめん/影三> 【16文字】
書きたくても、書いてはいけない。
15.
信仰<君が眉を潜めるから/エドワード> 【24文字】
日曜日。彼に出会ってから、教会へ行くのをやめた。
16.
遊び<同僚と麻雀(笑)/影三> 【65文字】
鳴いてから彼は静かに手牌を倒した。
晒された牌をみて、その場の人間が思わず息を呑む。
「お約束どおり、帰ってもいいですか」
彼は言った。
17.
初体験<七五三みたいかも/エドと影三> 【64文字】
あまりに悪戦苦闘しているので、つい。
シュッ…と軽く衣擦れをさせて、手早く結んでやる。
初めてする彼のネクタイは、よく似合っていた。
18.
仕事<バート病院にて/影三> 【56文字】
「間は足を頼む!
」
夜の処置室に運ばれた重症者。
同僚の指示に彼は「OK」と答えると、真っ赤に染まる患者の足を診た。
19.
化粧<ほんの少しの、出来心/エドワード> 【54文字】
夜、爆睡する彼の薄い唇に、桃色のルージュをひいてみる。
それは、悪戯にしては、魅力的で、背徳的な寝顔になった。
20.
怒り<ノワール・プロジェクト/影三> 【64文字】
生体間臓器移植を受けられない、多くの患者のために開発した。
一部の金持ちへの為にじゃない。
カルテを眺めながら、彼は唇を噛み締める。
21.
神秘<生命誕生/影三> 【58文字】
妻の腹部に、思わず手を当ててみた。
まだ分からないが、この中に、自分の子供がいるのだという。
彼は思わず、涙ぐんでいた。
22.
噂<エド、許さん…/影三> 【27文字】
「間さんとドクタージョルジュって、デキてるんですか?」
23.
彼と彼女<密やかな結婚式/エドとメアリ> 【64文字】
夕方の公園。ベンチに座り、彼は彼女の左手薬指に指輪を嵌める。
そして彼女は、彼の左手薬指に。
2人だけの指輪交換に、彼女は笑った。
24.
悲しみ<不発弾事件/影三> 【31文字】
妻と息子のカルテに目を通した彼は、泣く事すらできなかった。
25.
生 【○○文字】
渡された資料を見て息をのんだ。
それは21年前に日本においてきた、息子の成長した姿。
「生きていてくれたのか」
思わず呟いていた。
26.
死<やっと君に会えた/影三> 【30文字】
「…みお…」
幸せそうに呟いた彼は、二度と動くことが無かった。
27.
芝居<21年ぶりの再会/BJと影三> 【58文字】
「久しぶりだな、黒男。よく来てくれた」
彼は冷たい声で、無機質に告げる。
優雅な仕草で、息子をソファーへと促した。
28.
体<生かされる命/ドクタージョルジュ> 【58文字】
ウィルスに蝕まれた体は、生命維持装置に繋がれている。
人工的な機械類。どこまでが体でどこまでが機械なのか。
それすらも。
29.
感謝 <そんな日常が/みおと影三> 【43文字】
玄関のドアを開ける。
「ただいま」
「おかえり」
すぐに顔を覗かせる妻は、いつも笑顔だった。
30.
イベント<日本のイベントには慣れていないんだ/影三> 【65文字】
「…間違えたか…」
彼は苦笑しながら、包みをポケットに押し込んだ
。
”ハッピーバレンタイン”と書かれたカードが、ポケットから落ちた。
31.
やわらかさ<余計なお世話だ/影三とエド> 【39文字】
彼が人差し指で、背中をツンツン突いて言った。
「運動してますか?柔らかいですよ」
32.
痛み<君を思う…/エドワード> 【54文字】
彼の妻の訃報を聞き、心臓を撃ち抜かれたかのような激痛が走る。
彼は力なく椅子に座り込むと、静かに嗚咽していた。
33.
好き<そんな君が/影三とジョルジュ> 【62文字】
論議を白熱させた彼は、身振り手振りまで繰り出してきた。
彼の論議を正面から受け、男は反論をする。
もう、数時間も続く光景だった。
34.
今昔(いまむかし)<変わりゆくもの/ジョルジュ>
【51文字】
黒髪も、鳶色の眼も、何も変わりはしないのに
砂浜を無邪気に駆ける息子を見詰める彼の表情は、父親のそれだ。
35.
渇き<君が潤して/ジョルジュ> 【50文字】
ミネラルウォーターを飲み干す彼の、露になった喉を見詰める。
上下する喉元は、白人に比べたら華奢だ。
36.
浪漫<新婚旅行中の間夫妻より/ジョルジュ> 【65文字】
彼が手にした絵葉書には、青い空、白い雲。
青い海に白い砂浜。そして君の走り書き。
”It is traveling happily ”
37.
季節<半袖だと寒い筈だよ/影三> 【33文字】
「へっくしょん!」
盛大にくしゃみをしてみてから、気づくのが肌寒さ。
38.
別れ<耳に残っている声/影三とみお> 【34文字】
「じゃあ、行って来る」
「いってらっしゃい」
それが、君との最後の会話。
39.
欲<それ以上の望みなど/ジョルジュ> 【51文字】
「自動販売機のコーナーで居眠りをする彼の黒髪を、優しく撫でる。
隣に座り、そっと彼の手に自分の手を重ねた。
40.
贈り物<君を忘れられなかった/影三> 【65文字】
「今度こそ、渡せそうだな」
呟く彼が手にしていたのは、ボロボロの紙箱に収まった、ペンダント。
一年前に渡せなかったそれは、美しく輝く。