「ドクター、泊めてくれます?」
 エドワードがドアを開けると、影三の婚約者である、みおがいた。
「…みおちゃん?一人?」
「うん」
「影三は?」
 エドワードの問いに、みおはニッコリと笑って告げた。「ケンカしたの」
「珍しいね」
「あんまり頭に来たから、家出したの」彼女は言った。「ドクターと結婚するからって、置手紙してきたやったんです」
「………は?……」
 医学界の鬼才、エドワード・ジョルジュ。
 目の前の女性の言葉が、咄嗟に理解できなかったのは、あまりに衝撃的な言葉であったからだ。














 
『彼女が家出をしました-訪問編-』













「みおちゃん、悪いことは言わないから、今すぐ帰りなさい」
「いやです」
「…影三も反省しているから…たぶん」
「いやです」
「結婚前の女性が、独身男の所に泊まるのは、倫理上問題が…」
「いいんです!」彼女は頑固に言い放つ。「影三が悪いんです!ドクターみたいな思いやりがないんだから!」
「…そんなスキルを影三に求めるのは…」
酷だと思うよ…といいかけた時だった。
「ジョルジュさ−ん、電報で-す」(※ここはNY設定です)
「ああ、どうも」
 郵便局員から受け取った電報は、今まさに話題に上がっている彼からだった。
 そして、その文面は、たった一言。


”kill”


ぱさり。エドワードの手から電報が落ちる。



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