「で」
 FAX用紙を丁寧に(泣きつつ)折りたたみながら、ジョルジュは「ケンカの原因は何かな?」
「影三が悪いんです!」
 ぷんぷん!と顔中に書きながら、みおは唇を尖らせる。
「私は毎日はいやって言ってるのに、影三は毎晩しないとダメだって聞かないの!」
「…………え?…………」
「私だって、早く眠りたい時があるんです!結局、自分が満足したいが為に、毎日、夜中でも言うんですよ!」
「………そう……」
「それに、イヤって言ったら、決まって”ドクタージョルジュとは毎晩してた”って言うし!」

 ぶほ

「それは学生時代の話でしょう!って、結局、ケンカになるんです!」
 話を聞きながら、エドワード・ジョルジュは、真っ白な灰になっていた。

















 
『妻が家出をしました-カナダ・誤解編-』













「昔、そうだったからって、今でもすることないですよね!」
「そ、そうだね」ジョルジュは顔面を蒼白にしながら「でもね、みおちゃん…私と影三は決してそんな仲じゃないから…誤解だよ、誤解」
「もう!本当に人の話を聞かないんだから!」
 ジョルジュの話をまったく聞かずに、みおは怒り心頭だ。
 だが、しかし。
「私はドクターじゃないんだから!一緒にしないでほしんです!」
「ま、まったくだね」
「もう!そんなにドクターがいいんだたったら、ドクターと結婚しちゃえばよかったのに!」

ぶほ

「いや、みおちゃんだからね…誤解…」
「私、絶対に帰りません!怒っているんだから!影三のオタンコナス〜!!!」
 みおが叫ぶと同時に、ドアが開いた。
 驚いて二人はドアを見る。そこには…
「メアリ!」
「みお、どうしたの?」
「わ〜ん!メアリ〜!」
 明日、帰宅予定であったジョルジュの妻、メアリの登場であった。
 みおはメアリに抱きつくと、彼女の胸で、わんわん泣いて離れない。
 驚きながらも、メアリはみおの頭を優しく撫で擦りながら、眼光鋭く、夫のジョルジュを睨む。
「エディ、なんでみおは泣いてるの」
「…気が緩んだんじゃないか、君を見て」
「まさか、私が今日は留守なのをいい事に…!」
「いや、違う!それは断じてないッ!私が影三の妻に何かするわけがないだろう!」
「問答無用!お仕置きよ!」
「ま。待て!誤解だッ!!!」


 それから数分間。ジョルジュ家からは、断末魔の叫びが聞こえ続けたという。
 




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