みなさま、突然のテロップに驚かれたと思います。 これは、実はハイジャック犯による要求の一つでして、当テレビ局は国際警察に協力しこのテロップを流しました。 報道規制解除となりましたので、改めてお知らせします。 日本国の首都東京の空港にて、○日午後、北米行きの航空機がハイジャックされました。 男は乗客175人を乗せた、カナダ・Kジェットの旅客機ボーイング□型をハイジャックしました。 乗客は解放されましたが、乗員のうち6人が人質のなっている模様です。 犯人は、北米に向かうことを要求していますが、目的は不明です。 犯人は日本人男性とみられ、単独犯と見られています。 もう一度繰り返します。 ○日午後… テレビの特別報道に、ジョルジュはしくしくと泣き出すのであった(笑) 『妻と息子が家出をしました-最悪編-』 「あらあ、物騒ねえ」 ジョルジュの妻のメアリは、笑いながらみおに紅茶のおかわりを淹れる。 「ボーイングだって!ぼく、プラモデルもってるよ!」 「ほんとう?きいちゃん、みせてよ!」 「いいよ!」 呑気な息子達の会話。他人事のようにニュースを眺める妻達。 しかしその中で、ジョルジュの顔色は一層悪くなるばかりだ。 お忘れかも知れないが、影三は例の国家プロジェクトの、あの厳しい警備の目を盗んで、 最重要機密ともいえる人工心臓を強奪して、逃走した男なのだ。(公式) 言って見れば、目的の為には手段は選ばない。 選ばないのだが…だがしかし…いや、パスポートがないのだから、いっそこれしか方法がなかっただろうか。 「…一体…どうしたら…」 とりあえず、ジョルジュは途方に暮れる。 ああ、こんなことになるのなら、思い切って日本に移住するんだった。 息子には日本に住むように、言い聞かせよう(笑) 「ねえ!ぱぱ!くぉちゃんにも、ぼーいんぐのプラモデル買ってあげてよ!」 「いっしょに、ひこうきごっこしたい〜!」 能天気に騒ぐ息子達に、涙が出る。 ああ、くぉちゃんごめんよ、私が不甲斐ないばっかり、君のパパをハイジャック犯にしてしまったよ。 そこまで考えてから、ふと気づく。 「くぉちゃん、どうして君のパパとママはケンカしたの?」 「え〜?けんか?」黒男は少しだけ思案顔をしてみせて「えっとね、おなべをしてて、さいごにぱぱはうどんをいれちゃったの」 「…………え?…………」 「ままは”きょうはおじやにするから”っていってたのに、うどんいれちゃったの」 「………そう……………」 やはり、昨日にでも日本に移住しておくべきだった。 「ぱぱ、なんで泣いてるの?」 「いや…くぉちゃん、ごめんね。もしものときは、おじさんがパパを助けるから」 「え〜?ぱぱがごめんなさいっていったら、ままもゆるしてくれるよお」 次頁・事は国際犯罪に(爆笑)