※tui様の素敵エド影キリジャ小説です!!!
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1話(by不良保育士)
2話(tui様)
3話(by不良保育士)
4話(tui様)
5話(by不良保育士)
6話(tui様)
7話(by不良保育士)
8話(by不良保育士)
11話(tui様)
10話(by不良保育士)

(11話)

洗脳薬。 
もしそんなものがあれば俺は何をするだろうか。 
善意のある人にはそもそも不必要なものかもしれない 
悪意のある人には… 

あなたはこの薬を手にしたら何に使うだろうか 

あなたが善人ならいい 
ただし悪人ならその時は俺達が… 

神の手、死に神。 

これでも俺達は医者だ。 
生命の倫理を犯すことは絶対に許さない。 

医者として、 
「神」ではなく「人」として 
俺達はあなたを許さない。 


「一粒一千億円だそうだ。今は試作段階の希少価値からその値段がついているからいいようなものの…量産されたらまずいな 

一人で戦争を起こすことも可能だろうな。」 


「ああ。お前さんも考えてるだろうが政治家や政府高官、機密事項を司る部署…核兵器を使用することも、少なくとも手に入れるぐらいは簡単だろうな。欲しがるのは…マフィアやテロリスト…大資本家やもしくは国家プロジェクトとして薬の利用を考えだすこともあるだろうな」 
「そうさブラックジャック。金があればいくらでも手に入いる。まずは資本家を狙うか自分自身が大資本を持っている人間が使い出すだろうな」 
「そして国同士で戦争をさせ、武器需要を高め、買い占めておいたものを捌いたり…表ルートでも有能な資本家を操り、金を生み出すのはいくらでも可能だということだな」 
「そうだが…まずは金だ。そして金に困らなくなると、絶対的な権力者になってるもんさ。そんな人間ほどそれを長く振るいたがる」 
「…今現在その薬を製造してる大元は、その段階ということだな。キリコ」 
「そういうこと。だから天才外科医のブラックジャック先生、お前の神の手が真っ先に狙われるのさ」 
「…となると、おじさんはそれを察知して俺の元にやってきた…つじつまが合うな」 

「まずはその薬か確かめないと。さてどう手に入れるかだ…」 
「お前さん、ツテはないのかい?」 
「あることはある。だが一千億だぞ、一千億円だ。ペソじゃなくて」 
「…なんだそんなことか。キリコ、お前には仕事させないからな!」 

しばらくしてブラックジャックは小ビンを数十個ほど机に並べて、俺に白い粉薬を振り分けるように命じた。 
「よし、きたきた」 
パソコンで一斉メールを送ったのだという。 
「やはりこの瓶の数だと足りないか、返信順だな…まぁ、目標の金額には達したな。あとは任せたぞキリコ」 
「人気があるのね、この粉薬。ねぇ、何の薬?」 

「市販の胃腸薬だが…何か?」 
「…何て言って販売した」 
「体によく効くいい薬がありますよって…金持ちってのはたいてい長生きしたくなるもんだ。」 
「不老長寿ね」 
「ああ、古今東西の権力者の慣わしさ。そこをついてやればいいんだ」 

…今こいつ、市販の胃薬を、しかも何分の一によりわけた数百円のものを、数百億円で売ったような気がするんだが… 
健康グッズの悪徳商法みたいなことをやりましたよね?やったでしょう! 

「…この天才悪徳医師!」 
「死に神は黙ってろ!」 


…バン!! 


と、そこにお嬢ちゃんが勢いよく玄関から駆け込んできた 

「先生急患よのさ!町の八百屋さんの…息子しゃんよのさ!」 
「ブラックジャック先生お願いします!!うちの子を…うちの息子をお助け下さい!」 
「分かりました。」 
「手術料金はいくらでもお支払いします!お願いします!!」 
「ピノコがつれてきた患者ですから…おい、ピノコ今日の夕飯は何だ?」 
「キャベツの丸煮よのさ」 
「ではキャベツを半玉…キリコ、お前も食べて帰るか?」 
「あ?ああ。」 
「じゃあ一玉でお願いします」 
俺はただ、一連のやり取りに呆然とするしかなかった。 

「ふぅ。これで何とか今月を乗り切れるよのさ…」 
「お嬢ちゃん…家計簿はどんな具合なの」 
お嬢ちゃんは一呼吸おいつ俺を睨みつけた 
「火の車よのさ!」 
…。 

「俺にはお前の金銭感覚がわからかない」 
「キャベツは美味しいぞ。家計は節約しないとな」 
「1000億円は…そのぐらいなの?」 

「…おじさんが助かるなら安い金だ」 



ほどなく薬を手に…入れるまでもなく、ブラックジャックは… 
口に入れた 

「ほら、平気だ。 
俺の言った通りだろう?キリコ。 
おじさんは正しかったんだ」 

自信家だ。薄めて注射とかしないのか、普通。手っ取り早い方法ではあるが…父の強行の理由に納得できたが… 

「医者の不養生とかお前にピッタリだよな」 
「黙れ、死に神!」 



「…あり得ない。」 
「この薬を生み出したのはブラックジャック、お前ぐらいの天才だな」 

俺達だけでこの薬を研究することも考えた。 

ざっと成分を洗い出してはみたものの、複雑怪気そのものだ。 
人間が作った代物とは思えない神業…いや 
悪魔の薬だ。 
この薬が世界にばらまかれる日が来たら…もう試作の段階だ、それでは間に合わない。 
やはり、事情を知っている父をあたりのが最短ルートだろう 


ブラックジャックはもう大丈夫だと気丈に振る舞ってはいた。 

「なぁ…キリコ、キリコだよな?」 
ベッドに横たわる彼は俺に手を伸ばそうとしている。 
「ああ、そうだ」 
「キリコ…長い髪…眼帯キリコだよな?」 
行為の最中、何度も俺の名前を呼び、髪を掴んで離さなかったり、眼帯を外して確かめようとしてみたり。 
「俺はキリコだ。お前はブラックジャックだよ」 
顔の傷をなぞると、ふっと気の抜けたように安堵する。 
下半身に手を伸ばそうとすると、小刻みに震えているのが分かる。 
だんだん息の感覚が短くなっていき、肩が大きく揺れ始める 
「…キリコ、キリコだよな?」 



「うああああああ!!」 

泣き叫ぶのをなだめたあの時はとても苦労をした 

全身から汗が溢れて目は見開いたまま…何かを 
…そう、凌辱されている自分を見詰めるみたいに。 
ガタガタと震えがおさまらず、呼吸が整わなかった。 
「ハァハァ…ウ…グッ…!!」 

ストレス性の喘息を起こしていた。 

息苦しそうに、 
何かを吐き出してしまいたいみたいに 
首を締められたみたいに 
何度も息を詰めていた… 

処置をした後、しばらく背中をなでていたが、 
震えが収まることはなかった。 

誰だってそうだ。 
小さい頃に別れた懐かしい人が突然やってきて 
子供の心が蘇るのは普通の事だ。 

強姦されたのだ。 
無防備な子供の心を。 

無垢で純粋な心と体に戻った感覚の状態で 

親しい人が欲を向け 

白濁したものが躯に注ぎ込まれる恐怖感 


余りの酷さに想像がつかない。 

俺には察する事しか出来なかった。 
それを乗り越える力がブラックジャックにはある。ただし… 



「やっぱり…一人で行くつもりなのか? 
キリコ…俺はダメなのか?」 
「そうじゃなくて、これは俺と親父の問題なんだ」 
「親子の問題が関係するのか?」 
「そういうこと。親父には確かめたい事があるんだ。だから一人で行かせてほしい」 
「何だそれは?」 
「…俺の子供の頃のトラウマさ。俺と親父との距離の始まり。事が終わったら必ずお前にも話す積もりだから、信じて待っていてほしい」 

「そうか、分かった」 

父のブラックジャックへの強行の理由に納得できたが…他にも腕のいい医者はいる。そもそもこいつは金さえ出せば悪人でも宇宙人でも何でも手術するぞ…洗脳なんてする必要ないはずだ。 

何故ブラックジャックをわざわざ洗脳する必要がある? 
神の手を持つ天才外科医としてのブラックジャックではないのなら… 

俺の幼い日の傷。 

父を真似た凌辱に追い詰められるブラックジャックの表情を見て核心した。似ているどころではない 
ブラックジャックが狙われるには別の理由があるとしたらそれは「あの人」。 
あの画像の内容は…一人の男をひたすら責め続ける…陰惨なものだった。 
ただ、読み取れることがある。 
それは「あの人」に固執する「誰か」がいるということ。その「誰か」がブラックジャックにも目をつけたのかもしれない。トラウマになるほどの拷問…父はブラックジャックを何から守ろうとしたのか…もしかして… 

ブラックジャックが狙われる理由が俺のトラウマに関係しているのは明白だ。 

全てを知っているのは 
俺の父親、 
エドワード・ジョルジュ。 
あんたが鍵を握ってるはずだ。 



「今日はここまで」 

ブラックジャックのことをあれから最後まで抱けない。 
ただし、おもいっきり抱きしめることにした。 
頭を撫でて、背中をさすると、緊張状態が解けて、喘息の兆候は収まる…の繰り返しだった。 

こいつは強い。乗り越えていける力が確かにある。 
ただしそれには充電する時間が必要だ。 
俺とのセックスが出来るようになるまでは、少なくとも、親父には会わせない方がいいだろう。 

良くなってはきているものの…治りかけの傷口が開いてしまうかもしれない 

あったかい。とても。 
今は抱きしめるだけで十分だ。 

「…おじさんの方が上手かったぞ」 

「紙飛行機か」 
「それもある」 
「他に何かあるのか」 

「セックスも…お前さんより情熱的だった」 
「…今、無理しただろう?」 
「…してない」 
「いや、無理しただろう?」 
「してない!」 
「いや、絶対したな」 

その時ブラックジャックは観念したような顔で薄く笑ってこう宣った 

「ああ…確かに無理をした。 
だが嘘はついてない。 

お見事だキリコ」 



「…親父を殴りに行ってくる」 
「ちゃんと習ってこいよ」 
「…行ってくる」 
「くれぐれも気をつけろよ、キリコ。 
行ってこい!」 

一発殴らないと気が済まない…あんのクソ親父!! 

目を覚まさせてやる!!! 


いつまでも父親ずらするんじゃない、俺達はもう守られるだけの子供じゃないんだ 
少しは頼れる存在になったはずだ。 
全てを一人で背負い込むのはやめろと 

気付けば俺は駆け出していた 

…絶対習ったりするもんか! 


「たらいま〜!あぇ〜キイコたん帰ったの」 
「急用だそうだ」 
「え〜!カレーキイコたんの分まで作っちゃったよのさ。ピノコのスペシャル手作りカレー、夏野菜バージョンなのにぃ〜どうしちましょう」 
「仕方ない、俺が二人分食べるしかないな」 
「助かゆわ〜先生」 
「しょうがなく食べるしかないな」 


「…キイコたんも先生もまったくもう!子供よのさ…」 
「…何か言ったかピノコ」 
「何にも言ってまちぇん!」 

わざと追い出ちたんじゃないかちら…そんなにカレー好きなら今度から四人分作るよのさ! 



彼がこの家を去っていく。全身が俺の指先一つに納まるぐらいに 
遠く、遠く離れていく。 

キリコ、無事に戻ってこい。 
お前のトラウマと向き合ってこい 
それまでに俺も治しておくから 
その時は… 

悪魔の薬。危険な賭け 

無傷で戻るなんて期待してはいけない。 
けれど… 

キリコ。 
俺をもう一度抱くまでは死にきれないはずだ。 

キリコ、あんたに抱かれないと俺の心は満たされないままだ、永遠に。 

キリコ、いつまでも治らない不治の病にかかっているんだ。 

だからキリコ、 
早く戻ってきて、 
もう一度抱いて 
俺を…助けてくれ。 

凌辱を覚えた体の記憶から開放して 
あんたが死ぬという恐怖からも 

その、躯に宿る熱を心に宿る温もりをもう一度感じさせて。 


「不安なんだよ、キティー…たすけて…」 










サヨナラも告げずに
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